細胞の膜表面のリン脂質に対する抗体と思われていましたが、最近の研究でリン脂質に結合する血漿タンパクに対する抗体ということが分かってきました。
現在保険診療で検査可能なβ2-glycoproteinⅠ依存性抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラント(LA)が陽性な場合、胎盤内に微小血栓が生じることが流産あるいは死産などの原因とされ、妊娠中期以降に発症することが多いといわれています。
臨床上もっとも多い妊娠初期の流産の原因としては、保険診療では認められていませんが、抗フォスファチジルエタノールアミン抗体が注目されており、陽性率も高く臨床上の有用性が報告されています。
妊娠初期の流産に関しては血栓形成の他にも初期胚の細胞膜を障害することも原因のひとつです。
LAが陽性の場合生体内では血栓を形成しますが、臨床検査では逆に凝固時間のaPTTが延長することが知られています。
現在検査可能な抗リン脂質抗体が陰性でもaPTTの延長がある場合は高い流産率が報告され、当院では抗リン脂質抗体陽性と同様の治療を行っています。
治療として、低用量アスピリン+ヘパリンによる治療の奏功率は70~80%と報告されています。
また、漢方薬の柴苓湯の有効性も報告されています。当院では柴苓湯、アスピリン、ヘパリンを単一使用もしくは組み合わせて治療計画をたてます。 |
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